DJ の EQ の使い方|3 バンドで混ぜる

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2 曲を重ねたときに音が濁る——DJ の EQ は、この濁りを取るための道具です。音を良くするためではなく、ぶつかっている帯域をどちらか一方から引くために使います。

本記事では、HI・MID・LOW それぞれの役割と、繋ぎでいちばん使う「低音の入れ替え」の手順を整理します。つまみの表示は NEXIA に常設している XDJ-RX3 を例にし、可変範囲は 2026 年 10 月時点の取扱説明書を基準にしています。

この記事の内容

EQ は「足す」道具ではない

3 つとも上げても何も変わらない

EQ のつまみを 3 つとも右に回すと、その曲の音量が上がります。帯域のバランスは変わりません。音量を上げたいだけなら、それは EQ ではなく TRIM の仕事です。

EQ が役に立つのは、2 曲が同時に鳴っているときです。片方を引けば、もう片方のその帯域が相対的に前に出ます。

濁るのは帯域が重なっているから

2 曲を重ねて「音が汚い」と感じるとき、たいていは同じ帯域に同じような音が入っています。キックとキック、スネアとスネア、歌と歌。

どちらを残すかを決めて、残さないほうを引く。EQ の操作はこれだけです。

図解: EQ の 3 つのつまみ(HI・MID・LOW)は、ISO で -∞ dB、EQ で -26 dB まで下がり、上げる方向はどちらも +6 dB。低音の入れ替えは、次の曲の LOW を下げきってから再生し、フェーダーを上げ、前後の LOW を入れ替えて、前の曲を落とす 4 手順(自作の図、2026年10月時点)

HI・MID・LOW それぞれの役割

LOW|キックとベース

いちばん触るつまみです。キック(バスドラム)とベースがここに入っています。

2 曲のキックが同時に鳴ると、拍が二重に聞こえて何を聴いているのか分からなくなります。繋ぎの間、キックは常に 1 曲ぶんだけにするのが基本です。

MID|ボーカルとスネア

歌とスネアが入る帯域です。2 曲とも歌モノだと、中域で言葉が重なって聞き取りにくくなります。

残したいほうを決めて、もう一方の MID を引きます。LOW ほど頻繁には触りません。

HI|ハイハットとシンバル

刻みの音が入ります。ここが重なると、全体がシャカシャカとうるさくなります。

HI は引いても曲の芯が残るので、迷ったら少し引いておくくらいで構いません。

DJ ミキサーのつまみを両手で操作している手元

12 時が「素の状態」

XDJ-RX3 のつまみは、真上(12 時)がフラットです。左に回すと引き、右に回すと足します。操作のあとは 12 時に戻すのが前提で、戻し忘れると次の曲が痩せたまま流れ続けます。

低音の入れ替え|繋ぎの中心

手順は 4 つ

繋ぎでいちばんよく使う操作です。キックの持ち主を 1 曲ずつ受け渡すと考えると迷いません。

  1. 次の曲の LOW を下げきってから再生する
  2. 拍を合わせたまま、チャンネルフェーダーを上げる(このとき中高域だけが混ざる)
  3. 前の曲の LOW を下げながら、次の曲の LOW を上げる
  4. 前の曲のフェーダーを落とす

1 の「下げきってから」が肝心

再生してから LOW を下げると、下げるまでの一瞬だけキックが 2 つ鳴ります。この一瞬が目立ちます。

再生ボタンを押す前に LOW を下げておく。順番を入れ替えるだけで仕上がりが変わります。

3 はゆっくりでいい

前後の LOW を入れ替えるところは、焦らなくて構いません。4〜8 小節かけて入れ替えても不自然にはなりません。

拍が合っていれば、入れ替えの途中は「2 曲が溶けている」状態になります。ここを長く取れるのが EQ を使う利点です。

拍が合っていることが前提

EQ で低音を入れ替えられるのは、2 曲の拍が揃っているときだけです。ずれたまま重ねると、低音をどう操作しても濁ります。

EQ と ISO|下限が違う

下げきったときの差

XDJ-RX3 の EQ/ISO(HI・MID・LOW)ノブは、上げる方向はどちらも +6 dB ですが、下げる方向の下限が違います。

設定下限上限
EQ-26 dB+6 dB
ISO-∞ dB+6 dB

ISO は完全に消せます。EQ は -26 dB までなので、下げきってもわずかに残ります。

どちらを使うか

キックを完全に消してから入れ替えたいなら ISO、少し残しておきたいなら EQ が向いています。

切り替えは本体の UTILITY 設定(EQUALIZER CURVE) で行います。曲の途中では切り替えません。その日の最初に決めておくものです。

青い照明の中で DJ 機材を操作する手元

EQ とフィルターの使い分け

効き方が違う

EQ は帯域ごとに決め打ちで引くもの、フィルターはつまみ 1 つで低域から高域までを連続して切っていくものです。

XDJ-RX3 では、フィルターは SOUND COLOR FX のセクションにあります。EQ とは別の場所です。

EQフィルター(SOUND COLOR FX)
つまみHI・MID・LOW の 3 つCOLOR ノブ 1 つ
効き方帯域ごとに独立連続して切っていく
向く場面繋ぎの中で細かく整える一度落として雰囲気を変える

繋ぎの中では EQ

2 曲を重ねている最中のバランス取りは EQ です。フィルターだと帯域を個別に残せません。

切り替えの演出にはフィルター

BPM が離れていて重ねられない相手には、フィルターで一度落としてから切り替える手があります。この使い方は別の記事にまとめています。

よくある失敗と直し方

全部下げてしまう

3 つとも引くと、ただ音が小さくなります。それはフェーダーの仕事です。引くのは 1 つか 2 つにしてください。

戻し忘れる

切り替えが終わったら、落としたチャンネルの EQ を 12 時に戻す。暗いブースでは目視より指の感触で確認するほうが確実です。

ヘッドホンだけで決める

ヘッドホンは低音の出方がスピーカーと違います。ヘッドホンで決めた低音は、フロアでは引きすぎか残しすぎになりがちです。

最終的な判断はフロアの音で行ってください。ヘッドホンの音量そのものの話は、音量管理の記事にあります。

DJ の音量管理|クリップと歪みを避けるゲインの合わせ方

【FAQ】DJ の EQ でよくある質問

Q1. EQ はどのつまみから触ればいいですか

LOW です。2 曲を重ねたときにいちばん先にぶつかるのがキックで、低音が重なると音が濁ってすぐ分かります。次の曲の LOW を下げきってから再生するのが基本の順番です。

Q2. EQ は上げるのと下げるのどちらが良いですか

下げるほうです。3 つとも上げるとその曲の音量が上がるだけで、2 曲のバランスは変わりません。足したい帯域があるときも、相手の同じ帯域を下げるほうが結果が安定します。

Q3. EQ と ISO は何が違いますか

下げきったときの下限です。XDJ-RX3 では EQ が -26dB まで、ISO が -∞dB まで下がります。帯域を完全に消したいときは ISO、少し引きたいだけなら EQ が向いています。切り替えは本体の UTILITY 設定です。

Q4. 低音の入れ替えはどういう手順ですか

次の曲の LOW を下げきってから再生し、拍を合わせたままフェーダーを上げ、前の曲の LOW を下げながら次の曲の LOW を上げ、最後に前の曲のフェーダーを落とします。キックの持ち主を 1 曲ずつ受け渡すイメージです。

Q5. EQ とフィルターはどう使い分けますか

EQ は帯域ごとに決め打ちで引くもの、フィルターはつまみ 1 つで低域から高域までを連続して切っていくものです。繋ぎの中で細かくバランスを取るなら EQ、一度落として雰囲気を変えるならフィルターが向いています。

Q6. MID はいつ触りますか

ボーカルやスネアがぶつかるときです。2 曲とも歌モノだと中域で言葉が重なって聞き取りにくくなるので、残したいほうを決めて、もう一方の MID を引きます。LOW ほど頻繁には触りません。

Q7. EQ を戻し忘れるとどうなりますか

次の曲が痩せた音のまま流れ続けます。曲を切り替えたら、落としたチャンネルの EQ を 12 時に戻す癖をつけてください。暗いブース内では、つまみの位置を目視より指の感触で確認するほうが確実です。

Q8. ヘッドホンで EQ の効きを確認できますか

できますが、最終的な判断はフロアの音で行ってください。ヘッドホンは低音の出方がスピーカーと違うため、ヘッドホンだけで低音を決めると、フロアでは引きすぎ・残しすぎになりがちです。

まとめ|LOW から触る

  • EQ は足す道具ではなく、ぶつかった帯域を引く道具
  • 3 つとも上げても音量が上がるだけで、バランスは変わらない
  • LOW がいちばん使う。キックは繋ぎの間も 1 曲ぶんだけにする
  • 低音の入れ替えは 「下げきってから再生 → フェーダー → 入れ替え → 前の曲を落とす」 の 4 手順
  • EQ は -26 dB、ISO は -∞ dB まで下がる。切り替えは UTILITY 設定で、曲中には触らない
  • 繋ぎの中の微調整は EQ、切り替えの演出はフィルター
  • 操作が終わったら 12 時に戻す

迷ったら LOW から触る。それだけで濁りの大半は消えます。

参考資料

  • XDJ-RX3 取扱説明書(DRJ1088C、日本語、全 125 ページ)
    • EQ/ISO(HI, MID, LOW)ノブの可変範囲:84 ページ
    • EQUALIZER CURVE(UTILITY 設定):110 ページ・116 ページ
    • SOUND COLOR FX の種類と設定方法:94〜97 ページ
  • XDJ-RX3 製品ページ(Pioneer DJ)

可変範囲とつまみの名称は、上記の取扱説明書の表記によるものです(2026 年 10 月時点)。他社のミキサーでは仕様が異なります。

吉祥寺で EQ を試すなら NEXIA へ

低音の入れ替えは、スピーカーで鳴らしてみないと加減が掴めません。ヘッドホンだけでは、どこまで引いたらフロアで足りなくなるかが分からないためです。

吉祥寺のシーシャ×ミュージックバー NEXIA には Pioneer DJ XDJ-RX3 を常設しています。月曜と金曜の FREE DJ DAY では、実際の店内の音量で EQ の効きを確かめられます。

  • アクセス: JR 吉祥寺駅 公園口から徒歩 2 分、吉祥寺南町ビル 3F
  • 席: カウンター 8 席、4 名 BOX 席 × 3 卓、6 人 VIP 席
  • 営業: 15:00〜翌 5:00(水・木は 19:00〜)
  • イベント: FREE DJ DAY(月・金)、NEXIA DJ NIGHT(土・日)

最新の営業情報は Instagram(@nexia_kichijoji)で告知しています。20 歳未満の方はシーシャ・酒類をご利用いただけません。