ロシアのシーシャ事情|世界の7割を占めるブランドと規制の実態

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シーシャのフレーバーはタバコ製品で、20 歳未満の方は購入・使用できません。

シーシャの世界では「いまの最先端はロシア」と語られることがあります。ただ、日本語で読める情報はほとんどありません。この記事では、現地のレビューサイト、大会運営、各メーカーの公式サイト、そして日本の財務省の資料をもとに、ロシアのシーシャ事情を整理します。数字はいずれも 2026 年 9 月時点 のものです。

この記事の内容

ロシアのシーシャが「最先端」と言われる理由

日本で「ロシアのシーシャは進んでいる」と語られるとき、その中身は次の 3 つに分けられます。

  1. 濃い味と強さを狙った ダークリーフ の製品が多い
  2. 火力をしっかり入れる 機材の組み合わせ が前提になっている
  3. ブランドの数と新作の多さ が、ほかの国と比べものにならない

このうち 1 と 2 は「ロシアが発明した」と語られがちですが、調べると出どころは別の国でした。一方で 3 は、数字ではっきり確かめられます。順番に見ていきます。

レビューサイト HTReviews のブランド一覧画面。ロシアのブランドが並ぶ(引用元: https://htreviews.org/tobaccos/brands、2026年9月18日)

発明したのはロシアではない|HMD とダークリーフの出どころ

HMD はアメリカ発

炭をのせる金属の容器である HMD(ヒートマネジメントデバイス)は、アメリカの Kaloud 社が出した Lotus が広まりのきっかけでした。米国特許 US 9,237,770 B2「Hookah Heat Management Accessory」の発明者はレザ・バヴァール氏、出願人は Kaloud Inc.(カリフォルニア)で、優先日は 2012 年 6 月 6 日です。公式ブログも、最初のヒートマネジメントの仕組みは 2011 年に生まれたと説明しています。仕組みそのものはHMD の記事で解説しています。

ダークリーフもアメリカが先行

濃い味のダークリーフで知られる Tangiers は、公式サイトに「AMERICAN MADE SINCE 2000」と掲げています。対してロシアのメーカーは、MustHave が公式に「2017 年〜現在」、BONCHE が「2018 年夏に開発を開始」と書いており、10 年以上あとの登場です。

つまり ロシアは、発明した国ではなく、広げた国 です。2010 年代後半以降に多くのメーカーが登場し、濃い葉と強い火力という組み合わせを大量の製品として送り出しました。

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数で見るロシア|レビューサイトの約 7 割がロシアのブランド

ロシア語圏には、利用者が投稿するレビューサイト HTReviews があります。ここに登録されている数が、ロシアの層の厚さを表しています。

項目2026 年 9 月時点
登録ブランド294
ライン507
フレーバー12,705
採点144,787
レビュー127,649
ロシア籍のブランド203(全体の約 69%)

評価の高い順に並べたとき、上位 20 のうち 19 がロシアのブランド です。日本で名前を聞くことの多い中東系のブランドは、この並びにはほとんど出てきません。

HTReviews のブランドページ。強度の公称とユーザー評価、「また吸いたいか」の割合が並ぶ(引用元: https://htreviews.org/tobaccos/bonche、2026年9月18日)

このサイトの特徴は、点数以外の指標が並ぶことです。

  • 採点数とレビュー数が別に出る(点数だけ高くて母数が少ないものが分かる)
  • 「また吸いたいか」が賛否の割合で出る
  • 強さがメーカー公称とユーザー評価の 2 本立て で表示され、両者がずれることもある

点数を見るときは、必ず採点数とセットで見る必要があります。評価順のランキングは人気順ではなく、採点が数件でも高得点なら上位に来るためです。

メーカーが語る「強さ」と「熱耐性」

公式サイトの言葉を並べると、ロシアのメーカーと、中東・アメリカのメーカーの違いがはっきりします。

メーカー公式が前面に出していること
DARKSIDE(ロシア)原料を洗わないので、ニコチン量・重さ・香りの強さが落ちない。煮る工程で煙をなめらかにし、香りの輪郭を強くする
MustHave(ロシア)7 か国の産地のバーレイ。最適な強さは 10 段階で 6
Black Burn(ロシア)3 種類のバーレイを使用。熱への強さ
BONCHE(ロシア)葉巻用の葉を使い、セッションの途中で味が変わる設計
Al Fakher(UAE)受け継いできたもの、品格、品質
Social Smoke(アメリカ)吸って、くつろいで、語らう。人工着色料を使わない
Black Burn の缶が宙に浮かぶブランド写真(出典: blckburn.com)

ロシアのメーカーは 原料の処理と数値 を語り、中東・アメリカのメーカーは 物語と過ごし方 を語ります。どちらが優れているという話ではなく、売り方の言葉が違うということです。

もう一つ特徴的なのが、葉の呼び方です。ロシアのメーカーの公式で共通して出てくるのは バーレイ(濃い葉)で、葉巻用の葉は上位ライン、バージニア種は「軽さ」を表す言葉として使われます。今回確認した範囲では、ブロンド / ダークという言い方を公式で使っているロシアのメーカーはありませんでした。

MustHave の缶を並べたブランド写真(出典: musthave.ru)

葉の種類の呼び方はラインの性格にも表れます。たとえば Spectrum は、強さの異なるラインを分けて展開しています。

Spectrum の Hard Line のパッケージ画像(出典: spectrum-tbc.ru)

人気ブランドのランキング

ロシア最大級の愛好家コミュニティ CLUB24 が行った投票を、Hookah Hub(大会運営の Hookah Battle によるメディア)がまとめています。確認できた最新版は 2022 年の調査 で、2026 年 9 月時点でもこれより新しい版は公開されていません。

順位ブランド割合
1DARKSIDE11%
2BLACK BURN9%
3MUSTHAVE9%
4SPECTRUM8%
5SEBERO6%
6BONCHE6%
7DUFT5%
8ELEMENT5%
9TANGIERS5%
10SMOKE ANGELS5%

11 位以下は SATYR、CHABACCO、СЕВЕРНЫЙ、BANGER、BRUSKO、ХУЛИГАН、ADALYA、JAM と続きます。回答者数は公表されておらず、割合は市場シェアではありません。 上位 10 のうち 9 つがロシアのブランドで、アメリカの TANGIERS が 9 位に入っています。

DARKSIDE のブランドロゴ(出典: trythedarkside.com)

日本でも、このランキングに入っているブランドのフレーバーを見かけるようになりました。

バナナパパ(シーシャフレーバー)
バナナパパ
スーパーミント(シーシャフレーバー)
スーパーミント
マンゴーラッシー(シーシャフレーバー)
マンゴーラッシー
クリームソーダ(シーシャフレーバー)
クリームソーダ

大会とチェーン|ロシア独特の文化

ロシア語圏のシーシャ文化で目を引くのが、作り手の腕を競う大会 です。Hookah Battle は 2011 年から続く国際大会で、審査員それぞれの順位を集計する方式や、コピー品を使った場合の罰則といった独自のルールを持っています。日本でも Japan Cup が予定されています。

Hookah Battle とは|世界のシーシャ大会と Japan Cup【2026年】
Hookah Battle のロゴ(出典: hookahbattle.com)

もう一つが、シーシャバーの チェーン展開 です。HookahPlace は 300 店以上・18 か国以上、Мята Lounge は 260 店以上・11 か国と、それぞれ公式サイトで説明しています(いずれも自己申告の数字)。個人店が中心の日本とは、業界の形がかなり違います。

規制の実態|飲食店ではシーシャを吸えない

生産と文化が盛んな一方で、ロシアの規制は日本よりも厳しい面があります。

  • 法律がシーシャを名指ししている:連邦法 15-ФЗ は「кальян(シーシャ)」を定義しており、たばこ葉を含まない製品を加熱する場合も定義に含めて います
  • 飲食店の中では使えない:2020 年の改正(303-ФЗ)で、飲食サービスを提供する屋内でのシーシャの使用が禁止され、2020 年 10 月 30 日 から施行されました。喫煙室を設けて対応する余地も条文上ありません
  • 2026 年は「売る導線」の規制へ:2026 年 3 月 1 日施行の 569-ФЗ により、シーシャを含む通信販売の申し出を掲載したサイトを、裁判所を通さずにブロックできるようになりました。通信販売の禁止自体は以前からあり、これは執行を強めるものです
  • 卸・小売のライセンス制:2026 年に成立した法律で、2026 年 10 月と 2027 年 3 月の二段階で施行されます

ノンニコチン製品の扱いが日本と違う点は、特に注意が必要です。日本の法律の考え方はニコチン量の記事で整理しています。なお、輸出を禁じる条文は確認できておらず、日本側の認可も途切れていません。

日本で買えるロシアのブランド

日本でタバコ製品を販売するには、財務大臣による小売定価の認可が必要です。財務省が公表している認可の一覧(2023 年 4 月〜2026 年 9 月の 274 件)を調べると、製造国が「ロシア」のブランドを 13 件 確認できます。

ブランド主な認可の例(2026 年 9 月時点)
Darkside2024 年 8 月に 30g 62 種(1,500 円)・100g 59 種(4,400 円)。その後も追加が続く
SEBERO2023 年 6 月の 40g 26 種(1,790 円)が最も早い。累計 80 品目超
BONCHE2025 年 8 月に 30g 11 種(2,400 円)・60g 7 種(4,500 円)、2026 年 4 月に 120g 24 種(8,800 円)
KRAKEN2026 年 1 月に 100g 13 種(8,800 円)
Element2024 年 3 月に 200g 5 種(8,300 円)
ほかMalaki、BLACK BURN、Must Have、JENT、DEUS、STARLINE、NASH、DOGMA

品目数では Darkside が突出 しています。

BONCHE(ボンチェ)とは|シガーリーフ100%のシーシャフレーバーを解説【2026年】
BONCHE のブランドロゴ(出典: bonchetobacco.com)

なお、この一覧は PDF の文字が崩れている箇所があり、拾えなかった品目がある可能性があります。フレーバー数は下限とお考えください。JENT はモルドバ製の行も確認できるため、ロシアのブランドとは言い切れません。

ベース(無香料)(シーシャフレーバー)
ベース(無香料)
ザルバイ(セージ)(シーシャフレーバー)
ザルバイ(セージ)
ネクタリン(シーシャフレーバー)
ネクタリン
ベルギーワッフル(シーシャフレーバー)
ベルギーワッフル

「ロシアンスタイル」という呼び名の正体

日本でも「ロシアンスタイル」という言葉を聞くことがあります。深いボウルに葉を密に詰め、強めの火力で吸う作り方を指すことが多い呼び名です。

ところが調べてみると、この呼び名はロシア側に見当たりません。ロシアのメーカー公式にも出てこず、ロシア語圏では「密な詰め方」といった一般的な言葉で語られています。この呼び方を使っているのは、主に欧米の小売です。しかも、その作り方に欠かせないとされる HMD はアメリカ製です。

Element のボウル型の商品画像(出典: element-tobacco.ru)

詰め方そのものを体系立てて説明しているのは、むしろアメリカのメーカーです。Fumari は公式に、ふんわりからしっかりまで 4 段階の詰め方を示していて、そこに「ロシアの」という言葉は使っていません。詰め方とボウルの関係はボウルの記事で解説しています。

呼び名は国の名前を借りているだけで、中身は 「濃い葉を強い火力で吸う」という組み合わせ の話です。国名にとらわれず、ボウル・詰め方・炭の数の組み合わせとして考えるほうが、失敗が減ります。

Satyr の商品パッケージ(出典: satyrtobacco.com)

【FAQ】ロシアのシーシャのよくある質問

Q1. ロシアのシーシャは何が違うのですか

メーカー公式の説明の力点が違います。ロシアのメーカーは、葉を洗わない・煮るといった原料処理や、熱への強さ、強さの数値を前面に出します。中東やアメリカのメーカーは、ブランドの歴史や社交の場としての楽しさを語ることが多く、同じシーシャでも訴え方が分かれています。

Q2. HMD(ヒートマネジメントデバイス)はロシア発ですか

違います。代表的な Kaloud Lotus はアメリカの Kaloud 社の製品で、米国特許(US 9,237,770 B2)の発明者はレザ・バヴァール氏、優先日は 2012 年 6 月 6 日です。ロシアのメーカーは、この仕組みが広まった後に製品を出しています。

Q3. ダークリーフはロシアが最初ですか

違います。ダークリーフで知られる Tangiers はアメリカのブランドで、公式サイトに「AMERICAN MADE SINCE 2000」と書かれています。ロシアのメーカーは、MustHave が 2017 年から、BONCHE が 2018 年に開発開始と公式に書いており、10 年以上あとです。

Q4. ロシアで人気のブランドはどれですか

VK のコミュニティ CLUB24 の投票では、1 位 DARKSIDE、2 位 BLACK BURN、3 位 MUSTHAVE でした。ただしこれは 2022 年の調査で、2026 年 9 月時点でもこれが最新版です。回答者数は公表されておらず、割合は市場シェアではありません。

Q5. 日本で買えるロシアのブランドはどれですか

財務省が公表している小売定価の認可一覧では、製造国がロシアのブランドとして SEBERO、BLACK BURN、Darkside、Must Have、Element、BONCHE、DEUS、STARLINE、KRAKEN など 13 ブランドを確認できます(2026 年 9 月時点)。品目数は Darkside が突出しています。

Q6. ロシアではお店でシーシャを吸えますか

飲食店の中では吸えません。ロシアの連邦法 15-ФЗ は 2020 年の改正で、飲食サービスを提供する屋内でのシーシャの使用を禁止し、2020 年 10 月 30 日から施行されています。喫煙室を設けて対応する余地も、条文上ありません。

Q7. ノンニコチンならロシアでも規制の対象外ですか

対象外にはなりません。ロシアの法律はシーシャを定義するときに、たばこ葉を含まない製品を加熱する場合も含めています。日本とは前提が違うので、海外の情報をそのまま当てはめないほうが安全です。

Q8. 「ロシアンスタイル」とはどんな吸い方ですか

深いボウルに葉を密に詰め、強めの火力で吸う作り方を指して、主に欧米の小売がそう呼んでいます。ロシアのメーカー公式にこの呼び名は見当たらず、現地では「密な詰め方」といった一般的な言葉が使われています。

参考

HTReviews、Hookah Battle、各メーカー公式サイト、財務省「製造たばこの小売定価の認可」(いずれも 2026 年 9 月 18 日に確認)